企業破産の具体事例(その1)

S社は、衣服などの製造委託・販売などを行う会社でした。
全国的な知名度はほとんどありませんでしたが、地域密着型として商店街に店舗を持ち、売り上げの不足を補うために、インターネットを活用した販売業務も行っていました、
一時期は、商店街もとても栄えていたため、経営に困るようなことはほとんどありませんでしたが、Kさんの親の代からKさんに事業譲渡があったあたりから、S社は少しずつ経営不振に陥ってしまったのです。

その原因は、商店街の衰退にありました。
産業や社会の発達によって、どんどん安くて良い商品が出されるようになったことと、地方地域の人口減少などの影響により、商店街は衰退が加速し、あっという間に軒並み閉店状態となってしまったのです。一度シャッター通り化されてしまった商店街に活気が戻るのは非常に難しく、S社もとても経営を維持できる状態ではなくなってしまいました。

Kさんとしては、S社は親から継いだ大切な会社であったため、なんとしても再度の建て直しを図ろうと手を尽くして奮起してきましたが、結果として残ったのはS社とKさんの多重債務だけでした。
もうこれ以上は経営を維持することができないことを感じたKさんは、苦渋の思いで企業破産を決意し、今回、ご相談へと来られました。

Kさんから事情を聴取をしたところ、S社は完全に債務超過状態で、銀行からの借り入れだけでなく、下請け業者への未払いもあり、現在ある会社の運用資金と売上金だけでは、とても返済が間に合わない状態とのことでした。
また、数人いた従業員への賃金も1ヶ月分の遅れが生じていました。こちらに関しては、他の債権よりも優先して支払いが認められることが多いため、トラブルを未然に防ぐ意味で、従業員への未払い賃金については解雇前に精算し、早々に解消しました。

なお、KさんはS社の銀行からの借り入れの保証人になっているだけでなく、多数の消費者金融からも借り入れをしている状態であったため、会社の破産手続きと同時に、Kさん個人の破産手続きも進めていくことにしました。

企業破産は非常に煩雑な手続きですが、今回はKさんが熱心に手続きへの協力をしてくれたため、とてもスムーズに破産処理を終えることができました。
最終的に、会社・個人ともに破産手続きは無事に終結し、Kさんは新しい生活をスタートさせることに成功しました。S社が消滅してしまったことに関しては、何度も無念の思いを口にしていましたが、もう資金繰りに悩む必要がなくなったと笑顔で話してくれました。

企業破産の具体事例(その2)