企業破産の具体事例(その2)

Yさんはタオル製造を行う株式会社、M社の代表を務めていました。
M社自体はYさんの祖父の代からはじまり、当初はYさんの祖父と祖母だけで経営をしていましたが、徐々に売れ行きが伸びていき、Yさんへと代替わりをするころには、従業員が30名以上もいる会社へと成長を遂げました。

しかし、他の新興国が低価格で品質の良いものを作るようになり、一気に売り上げが落ちていってしまったのです。数年前からは、銀行への返済も滞るようになってしまい、利息のみの返済をすることによって、なんとか会社を維持してきました。
とはいえ、運転資金の借り入れも増えるようになったことから、現在は税金関係の債務も含め、債務は総額で1億円万円以上にまで膨れ上がってしまいました。

そして今回、1週間後に迫った支払い期日に銀行からの手形が落ちない(お金がおりない)ことから、やむなく相談へと足を運ぶ流れとなったようです。

M社について詳しく見ていくと、1年ほど前から経営破たん状態といっても過言ではない状態でした。そうしたM社の不足分は、すべてYさん個人の借り入れによって賄われていたため、Yさんにも多額の借金が残されている状態です。

会社の債務処理方法の中には、事業再生といって会社の立て直しを図る手続きもあるにはあるのですが、Yさんの会社の決算書といった各資料を見ていると、これ以上の業務の継続は非常に難しい状態にあったことと、Yさん自身の借金が多額にあったことから、M社については企業破産、Yさんについては自己破産の手続きが最良と判断しました。

M社には、現在も複数名の従業員が働いていましたが、事前に企業破産の申し立て日を決め、従業員には最後の納品日をもって解雇通告をすることにしました。
突然の発表に混乱が巻き起こることがあるため、通常は弁護士から解雇の通知をされることが多いのですが、Yさんは自ら通知をしたいとのことで、従業員への対応は任せることにしました。
結果、Mさんの日頃の業務の熱心さが従業員にまで伝わっていたのか、これといった混乱もなく、従業員への解雇通知を無事に終えることができました。

また、企業破産ではよくネックとなる申し立て費用の準備についても、最後の納品による売り上げからすべて確保することができたため、破産申し立てまでを迅速にこなすことができました。
Yさんが破産を決意し、相談へと足を運ぶタイミングがもう少し遅れていたら、ここまでスムーズに手続きを進めることはできなかったかもしれません。

最終的に、M社は約半年間で破産管財人の業務がすべて終結し、破産の手続きを終えることになりました。それとほぼ同時に、Yさんの破産手続きも終わり、数か月後に免責決定が出ました。
ここまできて、Yさんはようやく心の平穏を取り戻したように見えました。
現在、Yさんはタオル製造の経験を活かし、衣類関係の製造工場にて日々汗を流しているようです。

企業破産の具体事例(その1)